この世界には、誰のためにあるのかわからないルールと、悪い冗談みたいなことばかりがあふれている。そんな、まさに弱者ほど生きにくいこの時代に翻弄されている、一組の母子がいた。哀しみと怒りを心に秘めながらも、わが子への溢れんばかりの愛を抱えて気丈に振る舞う母。その母を気遣って日々の屈辱を耐え過ごす中学生の息子。もがきながらも懸命に生きようとする勇気と美しさに、きっと誰もが心を揺さぶられ、涙する。いよいよ社会のゆがみが浮き彫りになっている現代日本。そこで生きていくことは決して楽じゃない。でも、生きるに値する未来は必ずやってくる。茜色の希望をたなびかせて、厳しくも澄みきった人間賛歌がここに誕生した!
傷つきながらも、自身の信念の中でたくましく生きる母親・田中良子を尾野真千子が驚くべき存在感で体現。良子の息子・純平を演じるのは次世代の注目株・和田庵。その純平が憧れを抱く良子の同僚・ケイには出演作が相次ぐ片山友希。そして、交通事故で命を落とす夫・陽一にオダギリジョー、良子とケイを見守る風俗店の店長にベテラン、永瀬正敏が脇を固める。あえて今の世相に正面から対峙することで、人間の内面に鋭く向き合ったのは、今や日本映画界を牽引する石井裕也監督。観るものに時に衝撃を、時に温もりを与え、これまでのどの作品よりも自由にして、同時にどこまでも優しい世界を作り上げた。
ストーリー
1組の母と息子がいる。7年前、理不尽な交通事故で夫を亡くした母子。母の名前は田中良子。彼女は昔演劇に傾倒しており、お芝居が上手だ。中学生の息子・純平をひとりで育て、夫への賠償金は受け取らず、施設に入院している義父の面倒もみている。経営していたカフェはコロナ禍で破綻。花屋のバイトと夜の仕事の掛け持ちでも家計は苦しく、そのせいで息子はいじめにあっている。数年振りに会った同級生にはふられた。社会的弱者―それがなんだというのだ。そう、この全てが良子の人生を熱くしていくのだからー。はたして、彼女たちが最後の最後まで絶対に手放さなかったものとは?
私は、この度、どうにもやりにくいこの世の中で、映画の登場人物達が戦うように私ももがき、あがき、力の限り戦ってみました。
どうぞごらんください。
今回、この素晴らしい作品に役者として参加出来たことを僕は誇りに思います。母と子を取り巻く矛盾や理不尽さの中でコントロール出来ない感情に振り回されながら、それでも幸せになりたいと願う親子を描いた作品です。純平を演じて僕自身も精神的に成長出来たと思います。その親子の姿は皆さんにとって、きっと忘れられない作品になると信じています。
とふと、思いました。が、そんな事どうでも良くなりました!
映画ってかっこいい!映画を作ってる人達ってかっこいい!まだまだ私の熱は冷めません!
ここには書ききれない毎日がありました。
時間が経って、今になって監督は私を信じてくれたんだと気づき涙が出ました。
その想いだけでした。
素晴らしい体験、感謝しています。
そして時には、闘うことも必要だ。
自分の為にも。大切な人の為にも。
今、僕がどうしても見たいのは母親についての物語です。人が存在することの最大にして直接の根拠である「母」が、とてつもなくギラギラ輝いている姿を見たいと思いました。我が子への溢れんばかりの愛を抱えて、圧倒的に力強く笑う母の姿。それは今ここに自分が存在していることを肯定し、勇気づけてくれるのではないかと思いました。
多くの人が虚しさと苦しさを抱えている今、きれいごとの愛は何の癒しにもならないと思います。この映画の主人公も、僕たちと同じように傷ついています。そして、理不尽なまでにあらゆるものを奪われていきます。大切な人を失い、お金はもちろん、果ては尊厳までもが奪われていきます。それでもこの主人公が最後の最後まで絶対に手放さないものを描きたいと思いました。それはきっと、この時代の希望と呼べるものだと思います。
これまでは恥ずかしくて避けてきましたが、今回は堂々と愛と希望をテーマにして映画を作りました。と、まあこうやってつらつら書きましたが、尾野真千子さんがその身体と存在の全てを賭して見事に「愛と希望」を体現しています。尾野さんの迫力とエネルギーに心地よく圧倒される映画になっていると思います。尾野さんの芝居に対する真摯な姿勢には心から敬服していますし、共に映画を作れて、とても幸せに思っております。